電気でぶ猫のつぶやき

電力系統を中心に,電気関係の記事や,電験などの電気関係の資格の話などをやさしくつぶやきます。

【電力系統】発電所(4)【水力発電所その2】

 こんにちは。電気でぶ猫のラルフ0です。

 前回に引き続き,水力発電所について語らせていただきます。

水車の種類

 まず水車は衝動水車反動水車に分類されます。この衝動水車反動水車とは何かを説明するのがなかなかやっかいなのです(ラルフ0も完全には理解できていません)。

 それでもなんとか説明を試みてみます。非圧縮性で定常な流体に対してエネルギー保存則を考えると,ベルヌイの定理というものが成り立ちます。これは,流体の流線に沿って,それぞれ単位体積あたりの運動エネルギー,位置エネルギー,圧力エネルギーの和が一定になるというものです。そして,式をちょっと書き換えて長さの単位で上記のエネルギーをとらえなおして,速度水頭,位置水頭,圧力水頭の和が一定,というふうにいうこともできます。

 ここでわかりにくいのが,圧力エネルギーですね(運動エネルギーはわかると思います)。圧力について,その次元(基本物理量の組み合わせ)を調べてみると,やはり単位体積当たりのエネルギーの次元になるのです。まぁ,確かに圧力があれば仕事はできるでしょう。とはいってもいったいどういうエネルギーなのか? 熱力学でいうところの内部エネルギーみたいなものでしょうか? 正直よくわかりません。

 で,衝動水車は運動エネルギー(速度水頭)の形でエネルギーを受けて水車を回転させるものです。反動水車は圧力エネルギー(圧力水頭)の形でエネルギーを受けて水車を回転させるものです。以上が精いっぱいの説明です。

 

 

 衝動水車としては,ペルトン水車などがあります。反動水車としては,フランシス水車,斜流水車(デリア水車),プロペラ水車などがあります。

 これらは水車発電所における水の有効落差(損失などを差っ引いた落差)と比速度という,これまたわかりにくい概念との関係でいろいろ使い分けられます。比速度に関する数式を示すことは控えますが,その意味するところは「ある水車の相似な模型が有効落差1m,出力1kWで動作するときの回転速度」です。

 水車および発電機は,その回転速度が大きいほど寸法を小さくでき,安価になります。しかし,回転速度が大きくなると,機械的な強度が問題になることと,キャビテーションとよばれる現象が問題になります。キャビテーションとは,水車の表面で泡が発生することで,回転の効率が落ちたり,泡が破裂するときの衝撃波で,水車の羽(ランナ,バケット)が侵食されたりします。

 有効落差が大きい(高落差)ときは,速度がオーバしがちになるので,比速度の小さな水車が選択されます。それはペルトン水車です。

 低落差のときは,回転速度が不足することによる水車や発電機の大型化をさけるため,比速度の高い水車が選択されます。それはプロペラ水車です。プロペラ水車の中でもカプラン水車がよく用いられています。

 中落差のときは,比速度も中くらいなフランシス水車や斜流水車が採用されます。なお,フランシス水車と斜流水車では,フランシス水車の方が適正有効落差が高く,比速度が低いです。

 

 今回は,ここまでとします。次回は揚水発電所についてお話しようと思います。