【電力系統】発電所(10)【太陽光発電所】
こんにちは。電気でぶ猫のラルフ0です。
今回は,風力発電所と並ぶ再生可能エネルギーの雄,太陽光発電所について語りましょう。
太陽光発電所
概要
太陽光発電は,これまで述べてきたいろんな種類の発電所の中でも,みなさんになじみ深いものではないでしょうか。なにせ,御家庭の屋根に太陽電池のパネルを載せて発電するのも,立派に太陽光発電”所”ですもんね。
これまで述べてきた各種発電方式と太陽光発電との大きな違いは,回転機を使っていないという点があげられます。回転機を使わない発電方式としては,太陽光発電と,あと燃料電池くらいじゃないかな?
太陽光発電方式では,まず太陽光パネル(後で説明しますがアレイという単位です)があって,これが直流の電圧を発生します。また,この電圧がさほど高くなく,このままだと不都合なので,直流を変圧する仕組みを使います。そのためには以前めんどくさいと言った方法を取らざるをえなくて,多くの太陽光では直流チョッパというパワーエレクトロニクスの技術を使って,直流電圧を昇圧します。チョッパ方式では昇圧が不足する場合には,太陽光パネルの直流を一度高周波の交流に変換して,高周波用変圧器で昇圧,その後再度直流に戻すという方法がとられます(DC-DCコンバータといいます)。
さて,昇圧された先には直流部にコンデンサを抱えたインバータがあり,このインバータが直流を交流に変換して,系統に連系します。なお,必要に応じてインバータの交流側に変換用変圧器を設置する場合があります。また,チョッパからインバータまでの一連のパワーエレクトロニクス装置をPCS(Power Conditioning System)といいます。風力発電のDCリンク方式の場合と同様ですね。
太陽光パネルの構成
太陽光パネルなどというぼんやりとした言い方をしてきましたが,あまり正確ではありません。太陽電池の最小単位はセルと呼ばれるものです。これは半導体素子にしては面積が大きめのpn接合ダイオードなのです。
これに太陽光が当たると,いわゆる光電効果が生じて,多量の電子と正孔が生じます。すると,pn接合部の電界によって,電子はn側に,正孔はp側に移動し,n側は負に,p側は正に帯電することになり,電圧が生じます。これに負荷を接続すれば,電流が流れて電力が取り出せます。
ところで,ひとつのセルではあまりに電圧が小さいので(セルの出力電圧は0.5V),これを複数直列に接続して電圧を高める単位を作ります。この単位がモジュールです。モジュールでは36個のセルを直列接続して,18Vの出力電圧とすることが多いようです。また,出力電力は40~120Wくらいのようです。
モジュールを更に複数直列に接続し,逆阻止ダイオードや還流ダイオードを付け加えたものをストリングといいます。
ストリングを複数,こんどは並列に接続したものをアレイといいます。太陽電池は,皆さんの御家庭も含めて,このアレイの形で使われています。
メガソーラ
出力が1MW前後以上(へんな言い方ですが)の太陽光発電をメガソーラといいます。
御家庭用から,50kWくらいまでの太陽光発電設備だと,PCSおよびその系統接続が単相ですが,それ以上になってくると,三相になってきます。一方で,メガソーラクラスの設備でもあまり大容量のアレイを作るのは技術的に難しいのか,容量を分割してPCSを複数設置することが多いようです。
では,今回はこのあたりで。
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