【電力系統】発電所(11)【いろいろな発電所】
こんにちは。電気でぶ猫のラルフ0です。
今回は,これまで説明してきた発電所以外のいくつかの発電所について,簡単に述べたいと思います。
地熱発電所
再生エネルギーの四天王(ラルフ0が勝手に言っているだけです。(^^;)のどん尻にひかえし地熱発電所。水力発電,風力発電,太陽光発電と比べると,なんか目立ちませんね。これはやはり設置できる適所が相当に限られてしまうためと思われます。
構造としては,火力発電所にちょっと似ているかな。ボイラの代わりに蒸気を発生させるのが,地熱井とか蒸気井とか呼ばれるもので,地下深く井戸を掘って(深いもので3000mくらい)水蒸気を取り出し,これでタービンを回しています。
発電機の極対数(回転子における磁石のNS極のペアの数)は火力発電と同じ1で,したがって発電機の回転数は,1分間に50Hz系統では3000回転,60Hz系統では3600回転ということになるようです(調べてみつかった限りですが)。
なお,地熱の熱エネルギーの元は何かというと,天然の放射性元素の崩壊熱です。
エンジン発電機
原動機として,ガスタービンや蒸気タービンではなく,ディーゼルエンジンやガスエンジンを使った発電機です。容量は数百kVAから数MVA程度で,あまり大きくありません。
用途としては,あまり負荷容量が大きくない島嶼地域の電源として用いられたリ,起動が速いことから,非常用電源としてもよく用いられます。
手元によい資料がないことから断言できないのですが,エンジンと発電機はギアを介して接続されていたと思います。それも風力発電の場合は原動機から見て増速でしたが,エンジン発電機の場合は減速のはずです。おそらく,トルク重視のためではないかと考えています。P:有効電力,ω:角速度,T:トルクとすると,
P=ωT
の関係があります。Pは負荷との見合いで決まってきますから一定とすると,ωが小さい方がTが大きな値を取れることになります。
このあたり,正確な情報をお持ちの方いたら,是非教えてください。
化学電池
太陽電池は,光電効果がエネルギーの元ですから,物理的な電池だといえます。これに対して,化学反応を利用した電池があります。
その中でも燃料電池と呼ばれる電池は発電が可能です。これは,負極活物質に燃料(水素など),正極活物質に酸素を用いると,いわゆる燃焼反応(酸化反応)と同様な化学反応が起こるためです。
燃料電池も基本は発電の方向だけなので,一次電池の一種です。これに対し,最初まず充電する必要があるのですが,充電すれば放電,すなわち発電方向に運転可能な二次電池があります。開発という視点では,燃料電池よりも,こちらの二次電池の方が進んでいるといえるでしょう。
鉛電池,リチウムイオン電池,NaS電池,レドックスフロー電池などが電力系統では用いられています。二次電池の使い方としては,揚水発電所と似ています。というより,建設場所が制限される揚水発電所に代わる存在として,二次電池(蓄電池)が期待されている,といったところです。
なお,これらの化学電池も,太陽電池と同様に直流を出力するものですから,系統に連系するためには,PCS(Power Conditioning System)が必要になります。
さて,11回の記事とは思ったよりも長くなりました。ここらでいったん発電所の話題を締めくくりたいと思います。まぁ,ときどき思い出したように,発電所に話題が戻ってくることはあると思うのですが。
それではまた。