電気でぶ猫のつぶやき

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【電力系統】変電所(3)【開閉装置】

 こんにちは。電気でぶ猫のラルフ0です。

 今回は,変電所における開閉装置に関してつぶやこうと思います。

開閉装置の概要

  開閉装置,いわゆるスイッチです。変電所においては,送電線の入り切りおよび運転停止を行ったり,各種故障から機器を守ったりする役割を持ちます。

 図1に変電所における各開閉装置の結線の例を示します(なお,記号は適当です。規格に従っていません)。

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 図1 変電所における開閉装置に関する結線例

 

 開閉装置には,その目的によって,いくつかの種類があります。遮断器,断路器,接地開閉器があります。また,開閉装置でひとくくりにしてしまうと違和感もあるのですが,避雷器があります。また,図1には書きませんでしたが,負荷開閉器というものもあります。

 以下,これらの各開閉装置に関して説明していきます。

 

 

断路器

 線路に電流が流れていると切ることができません。電流が流れておらず電圧のみがかかっている電路に関してだけ,開操作を行うことができます。ただし,開閉回数に関する寿命については遮断器より多く,回数を重ねることができます。

遮断器

 故障電流のような大電流を切ることが可能です。当然,定格負荷電流の開閉,母線の開閉も可能です。だったら,上に書いたような制限の多い断路器なんか使わないで,遮断器を使えばいいじゃんと思うかもしれませんが,そうもいきません。開閉回数に関する寿命が短く,頻度の多い開閉には向いていないのです。そこで,断路器との組み合わせが必要になってきます。

 遮断器には,電流を遮断する仕組みから,いくつか種類があるのですが,よく用いられるのはSF6ガス遮断器と真空遮断器です。どちらの遮断器も交流電流が,その値が0になる点(電流零点)で初めて遮断可能になる点は同じです。

 SF6ガス遮断器も真空遮断器もけっこうややこしい機構があるのですが,SF6ガス遮断器は,接点が開離したあと生じている電流アークを,電流零点においてSF6ガスを吹き付けて吹き消します。真空遮断器では,電流が流れている期間は金属蒸気が充満しているのですが,接点が開離して電流零点を迎えると金属蒸気が減少し,真空状態に戻り絶縁状態が回復します。

負荷開閉器

 負荷開閉器は,負荷電流が流れている電路を切ることができる開閉装置です。故障電流を遮断することはできません。そういう意味では,断路器と遮断器の中間的な枠割をもった開閉器といえそうです。ただし,あまり高い電圧の変電所では用いられていないようです。

接地開閉器

 ものとしては,ほぼ断路器と同じです。図1に示すように,電路と対地の間に設置されます。

 断路器を切っても,電路には残留電荷が残る場合があります。これが感電の原因になるので,安全のために接地開閉器を閉じることで,残留電荷を対地に逃がすとともに,電路の電位を対地電位と等しくします。

 もちろん,点検などの作業が終了し,断路器を閉じて電路に電圧をかける場合は,その前に接地開閉器を開く必要があります。もし閉じたまま電路の断路器を入れてしまえば,地絡故障ということになってしまいます。

避雷器

 避雷器は,雷サージや開閉サージといった過電圧に対し,放電電流を流すことによって,交流電圧を維持する装置です。

 昨今では,酸化亜鉛(ZnO)の素子を,適用電圧に合わせて直列接続したものをタンクに入れ,SF6ガスを加圧封入したものが主に用いられます。

 電圧-電流に関して極めて非線形な特性を持ち,動作電圧よりも低い電圧では殆ど電流が流れないのに,動作電圧に達すると急速に電流が流れます。このため,サージ性の過電圧がくると,避雷器側に流れ込むことにより,変圧器などの機器を過電圧から守ることになります。

ガス絶縁開閉装置

 今回の記事の最後にガス絶縁開閉装置(GIS:Gas Insulated Swichgear)を紹介します。

 GISは,遮断機,断路器,接地開閉器などの開閉装置,避雷器,母線,電圧や電流を測定する計器用変成器などを接地タンクに格納し,SF6ガスで絶縁したものです。

 タンクが接地されており,高電圧部が外気にさらされないため,信頼性・安全性が高くなります。また,絶縁性に優れたSF6ガスのおかげで高電圧部とタンクの絶縁距離を短くできることから,極めてコンパクトな装置とすることができ,変電所における設置スペースを小さくできることから,日本では特に多く使用されています。

 

それでは,今回はこのあたりで。次回は保護装置に関して語ろうかと思います。