電気でぶ猫のつぶやき

電力系統を中心に,電気関係の記事や,電験などの電気関係の資格の話などをやさしくつぶやきます。

【資格試験】電験三種の勉強(1)【試験科目とか】

 こんにちは。電気でぶ猫のラルフ0です。

 発電所の話が一区切りついて,次は変電所の話――と続くところですが,今回から何回か少し寄り道して,電験三種の試験勉強について語ってみたいと思います。

電験って?

 御存知の方が多いと思うので,あえて説明するのもなんなのですが,一応念のため。

 正式には電気主任技術者試験といいます。電気主任技術者の資格を得るための国家試験ですね。通称「電験」です。

 電気主任技術者とは,事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるため、設置者が電気事業法上置かねばならない電気保安のための責任者です。電気工作物とは、発電・変電・送電・配電または電気使用のために設置する機械・器具・ダム・水路・貯水池・電線路その他の工作物であると定義されています。

 電気主任技術者には,一種,二種,三種とあって,取り扱える電圧階級が違います。一種は取り扱える電圧階級に制限がありません。二種は170kV未満,三種は50kV未満の電圧階級を扱うことができます(三種にはこの他発電所における出力の制限があります)。当然試験も一種がいちばん難易度が高く二種,三種なるにしたがって易しくなります。

 とはいっても,三種でも舐めて受かるような難易度ではけしてないです。翻って,後述するように,きちんと勉強すれば,どんなバックグラウンドの人でも手が届かないような難易度でもありません。ただし,その人のバックグラウンドによって,必要な勉強量,勉強時間が変わってくるのも事実です。

 

 

電験三種の試験科目

 電験一種,二種は,一次試験に合格後,二次試験があるのですが,三種は一次試験のみです。そして一次試験は選択式(マークシート)です。これだけでずいぶん気が楽になります。一種,二種も一次試験はマークシートなのですが,二次試験が筆記なのです。これでかなり難易度が跳ね上がります。

 一次試験の科目は,理論,電力,機械,法規の4科目です。科目合格制が取られていて,3年間で各科目に合格すればよいのです(3年すぎると,最初の年に合格していた科目合格が無効になります)。なので,1年で全科目合格することも決して不可能ではないのですが,2年~3年かけてじっくり取り組むのも悪くない方法です(変に欲張るより,効率がよいかもしれません)。なお,各科目60点を超えれば合格といわれています。100点満点を狙わないのも大事なコツのひとつです。

 各試験科目の内容を説明しましょう。

 

 理論は,ぶっちゃけ,ほぼ物理学でいうところの電磁気学および回路理論です。電磁気学でも回路理論は少し出てくるので,電磁気学では扱わない三相交流回路などを付け加える感じ。

 この他,電気計測,半導体等の問題もでますが,電磁気学および回路理論と比較すると出る問題は少な目なのと,半導体等の問題は選択問題になっていることも多いです。

 計算問題の比率が多いのも理論の特徴です。8割~9割が計算問題です。

 

 電力は,いわゆる発送配変電です。発は各種発電所。特に火力発電と水力発電の問題が多いです。これに比べる原子力発電の問題は少ないです。それなりにはでますけど。なお,昨今の状況を受けてと思われますが,太陽光発電など再生可能エネルギー,新エネルギーの問題が増える傾向にあります。

 送は送電。送電線の話だったり,送電電力や損失,電圧降下の問題等です。

 配は配電。スポットネットワークとか,単相3線式配電線とか,中性点接地方式とか,けっこう幅広い題材を扱います。三種はその扱える電圧階級から,配電と関係が深くなりがちなので,それなりに力が入りがちだと思われます。

 変電は,変電(^^;)。変電という言葉の定義は,変電所の記事で詳しく述べようと思います。ここでは,変圧器,遮断器の問題だと思ってください。変圧器や遮断器の問題は機械の方でも出るのですが。

 電力における計算問題は,近年増える傾向にあるようです。昨今では4割から5割くらいでしょうか。

 

 機械は,発電機,誘導電動機,直流電動機といったいわゆる回転機,変圧器,遮断機といった静止器,パワエレ機器,照明,電熱,そして自動制御等の問題が出ます。自動制御については,三種レベルだと問題が作りにくいのか,あまり目につかない気がします。また,照明は選択問題になることが多いと思います。

 機械についても計算問題が近年増える傾向にあるようです。昨今では6割くらいだと思われます。

 

 法規は,法律と施設管理についての問題です。法律は範囲が広いのですが,メインになるのは,電気事業法と電気設備技術基準およびその解釈です。なお,電気設備技術基準は略称「電技」と呼ばれ,実務において実に重要。

 施設管理は,需要率・負荷率・不等率の問題や配電線の短絡故障,地絡故障の問題などがよく出ているようです。

 法規についても計算問題が増える傾向です。昨今では3割から4割くらいだと思われます。

 

 電験三種は,近年難易度が上がっていると言われます。それは上記したように,計算問題の比率が増えていることと無関係ではないと思います。

 理論は昔から計算問題がほとんどでしたが,他の科目はラルフ0が三種を合格したころ(もう20年前になりますが)と比べると,計算問題が確かに増えています(※1)

※1:ラルフ0は,自己啓発的な意味と趣味的なものから,『電気計算』などの専門雑誌などから,最近の情報も収集しています。

 さて,以上で電験三種の試験の概要は説明した感じです。次回は,肝心の勉強方法をメインに語る予定です。では。