電気でぶ猫のつぶやき

電力系統を中心に,電気関係の記事や,電験などの電気関係の資格の話などをやさしくつぶやきます。

【電力系統】変電所(2)【変圧器(その2)】

 こんにちは。電気でぶ猫のラルフ0です。

 今回は,変電所の主要構成要素である変圧器の結線について語りたいと思います。

変圧器の結線方式

 三相交流用の変圧器を構成するときには、変圧器の各巻線を結線する必要がありますが、それには代表的な二つの方式があります。図1に単相変圧器三台からなる三相変圧器の結線に関する簡単な図を示しています。一次側巻線の方の結線方式がY結線(スター結線、またはワイ結線と呼びます),二次側巻線の方の結線方式がΔ結線(デルタ結線と呼びます)です。

 

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  図1 三相変圧器の結線

 

    図1の場合は,一次二次合わせて、一次用,二次用の巻線からなる二巻線変圧器の例ということになりまして,結線方式は、Y-Δ結線と呼ばれます。結線方式には,Δ-Δ結線,Y-Δ結線,Δ-Y結線,Y-Y-Δ結線(※1,※2)などがあります。それぞれの特徴は以下のようになります。

※1:三巻変圧器の例になります。

※2:今回は深入りしませんが,Y-Y結線というのはまず用いられません。変圧器の鉄心に由来する飽和特性のため,第3次調波電流が生じるのですが,この三次調波電流を還流させることができるΔ巻線が必ず必要になります。

 

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(1)Δ-Δ結線

 一相分の巻線が故障してもV結線として送電が継続できるという長所があります(V結線については回をあらためて説明します)。短所が割と多く,中性点が得られないことからアーク地絡などにより異常電圧が生じやすい,同じ線間電圧のY結線と比較すると巻線導体が細くなり巻き回数が多くなり大きくなる,三相が不平衡のとき循環電流が流れる,などがあります。

 これらの特徴から,比較的低電圧大電流に適し,33kV以下の比較的小容量変圧器に用いられます。

(2)Y-Δ結線

 長所はY結線側において中性点接地を取ることができ,異常電圧を軽減できる,三相の変圧比またはインピーダンスに差があってもΔ巻線に循環電流が流れない,Y巻線側は巻線電圧が線間電圧の1/√3で,巻線の占積率がよく高圧に適するなどがあります。

 短所は一次二次間に30度の位相角変位を生じること,一相故障時V結線が使用できないこと,一相の短絡は多相を過励磁することなどがあります。

 対象としては,275kV/66kV(77kV),154kV/66kV(77kV)の電圧降下用として多く用いられています。

(3)Δ-Y結線

 長所,短所はY-Δ結線と同じです。

 発電所の主変圧器としてよく用いられます。

(4)Y-Y-Δ巻線

 ※2でも述べたように,Y-Y結線は基本的に用いられません。で,三次巻線として,Δがついて,Y-Y-Δ巻線として用いられます。Δ巻線は,第3次調波電流の還流のほかに,趙相設備の接続や所内電力の供給に利用される場合があります。一方でこうした目的にまったく使用せず端子を持たない三次巻線が設けられる場合もあります。これを安定化巻線といいます。

 Y-Y-Δ巻線の長所としては,一次二次とも中性点接地ができることから,保守および保護が容易であること,各相の変圧比,インピーダンスに多少の相違があっても循環電流が流れないこと,一次二次巻線は巻線電圧が線間電圧の1/√3で,巻線の占積率がよく高圧に適するなどがあります。

 Y-Y巻線だと,三次調波電流が還流できないことが大きすぎる欠点となりますが,Y-Y-Δ巻線の場合,その問題もないので,これといった大きな短所はありません。

 対象としては,500kV/275kVの電圧降下用など,超高圧や特別高圧における大容量器によく用いられます。

 

 さて,変圧器に関して述べるべきことはまだまだあるのですが,まずは一通り変電所を眺めてしまいたいこと,変圧器に関してこれ以上のことを説明するには,ある程度の電気数学を説明する必要があることなどから,変圧器については,いったんここで話を締めくくりたいと思います。

 次回は開閉装置について語りたいと思います。それでは,また。