電気でぶ猫のつぶやき

電力系統を中心に,電気関係の記事や,電験などの電気関係の資格の話などをやさしくつぶやきます。

【電力系統】送電線はなぜ3本セット?(その1)【交流,直流,送電線構成】

みなさん,こんにちは。電気でぶ猫のラルフ0です。

今回は,送電線はなぜ3本セットになっているかについて,お話しようと思います。

電力系統で使用される電圧・電流は基本交流

 電気回路にかかる電圧および流れる電流には,符号が変化しない直流と符号が正負に変動する交流があります。電力系統も電気回路の一種ですので,交流か直流のどちらかが用いられます。

 電力系統で用いられる場合,直流も交流もそれぞれ長所・短所を持つのですが,以下に述べるような利点から,多くの部分が交流です。

(1)変圧(電圧を変えること)が容易(変圧器で変圧が可能。直流だと,DC-DCコンバータを用いるなど,相当面倒なことになります)。

(2)系統故障時の遮断が容易。故障が起きた時,遮断器で故障電流を遮断する必要があるのですが,系統に与える衝撃を最小限にするように遮断するには電流が0になったときに切る必要があります。交流ならば正負を変動するので,自然に電流が0になる点がやってきます。

 電力系統でも,一部直流が使われているのですが,これについてはまた別の記事でお話します。

 なお,負荷については,直流が使われているものがけっこうあります。特に家庭にあるような負荷は直流で動くものが多いと思います。これらはダイオード整流器などを用いて,交流から直流に変換して電気を使っています。

鉄塔の送電線構成

 さて,鉄塔を眺めてみると,いろんなタイプがあるんですが,送電線が6本のものを多く見かけると思います。もしかして,7本や8本に見えるという人もいるしれません。しかし,鉄塔の天辺に張られている1本ないし2本の線は送電線を雷から守るためのシールドの役目をしている架空地線と呼ばれている線で,電力を運ぶ役割の線ではありません。

 で,6本の送電線の場合を例に取ると,あれは3本一組の送電線が2セットで構成されたものなのです。

 大きな鉄塔だと,送電線が9本とか12本のものもみかけます。これらは併架といって,異なる電圧の送電線がひとつの鉄塔についている場合が多いのですが,この場合でも3本一組が3セットないし4セットあるということになります。

 では,なぜ送電線の構成は3本一組のセットから成るのでしょう? それは次にお話する三相交流というものに関係します。

 ちょっと長くなりそうなので,次回に続きます。